子供の脳脊髄液減少症の現状と問題点

1.病名にたどりつくことが困難
 脳脊髄液減少症は、部活動やスポーツ、友達との遊び、いじめ、交通事故の衝撃等、子供を取り巻くあらゆる要因により起こりうる疾病です。しかし、医療機関においてさえ認知度が低いため、異なった症状として診断されることもよくあるようです。
 症状によっては、通学に困難を伴う場合も生じますが、よほど顕著な症状が出ない限り、家族でも理解できず、学校からも、不登校や怠学と見なされてしまう場合もあります。医療機関からは、「起立性調節障害」「偏頭痛」「うつ病」「心因性のもの」等として診断されることが、特に多いようです。  

2.学校保険が適用されない
子供の脳脊髄液減少症の多くは、学校生活における事故等が原因で起こる事も多いです。しかし、本症が保険診療として適用されていないことから、現在のところ、日本スポーツ振興センターの災害給付の対象とはなっていません。したがって、患者を抱える家庭は、治療費のすべてを実費で支払わなければならず、有効な治療をあきらめざるを得なかったり、一回数十万円単位の高額な治療費に苦しんだりする家庭もたくさんあります。

3.教育現場への周知
平成19年5月31日付で、事務連絡という形で、文部科学省から脳脊髄液減少症に対する注意喚起の文書が各教育委員会や学校宛に通達されましたが、学校現場においては、未だに認知度が低いといわざるを得ません。そのことは、児童生徒の保護者に対しても本症に対する注意喚起が十分でないことにつながっています。学校現場において、本症の認知を促進することはもちろんのこと、あらゆる側面からの周知徹底が模索されるべきです。
4.治療後の学習支援
脳脊髄液減少症を発症後、硬膜外ブラッドパッチ(EBP)という有効な治療にたどり着いても、すぐに復学できるとは限りません。回復段階においても、様々な症状が表出し、特に倦怠感等、治療後も残ることが多からです。それゆえ、発症以前のように、大勢の生徒と今まで同様、通常学級では過ごせない場合もあります。このような状況に対して、各市町村教育委員会が、組織的な学習支援の方法を考えて対処することは不可欠であり、一刻も早い実現を強く要望します。
  本症を罹患した児童生徒に対して、通常学級での個別の学習支援は、現在の人員配置では、困難であると思われます。児童生徒やその保護者においては、特別支援学校・学級(病弱児対応)への転校を希望する家庭もあります。
 そのような希望がある場合には、速やかに転入手続きが行われ、長期にわたって、児童生徒が登校できないまま放置されることがないように強く要望します。  

 本症に罹患した児童生徒は、症状がはっきりしないことなどから、自分自身でもうまく説明できないばかりか、上記に述べたような周囲の理解不足から、心理的にも深い悩みを抱えている場合も珍しくありません。本症自体の治療に成功し、身体的には回復しても、精神的な悩みからすぐに学校に復帰できない場合も十分あり得ます。  
 そのような児童生徒に対して、精神的なケアも必要であると思われます。そのためにもスクールカウンセラー・学校教育関係者・部活動指導者等への脳脊髄液減少症に対する周知を徹底させる事は、必要不可欠であると考えます。 以上のような点を、個々のケースによって症状の出方、治療後の回復、児童生徒の性格も判断して、保護者と学校側が、綿密な連絡を取り合いながら症状に合わせた柔軟な学習支援が行われることが重要と考えます。個別の学習支援は、「特別扱いをする」事とは違います。しかし、児童によっては、「特別扱い」されてるようで、逆に嫌がり、ストレスになる事もあります。皆と同じようにしたい気持ちを尊重する事が重要な場合もあると考えます。 脳脊髄液減症の症状は、好転や悪化を繰り返し、回復にも長期間を要することが多いです。児童生徒の学習支援については、その場面・場面をとらえた指導がなされるよう、保護者と学校側の十分な連携を取れるように配慮していただくことが大切であると考えます。

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